Dr Makoto’s BLOG

パーキンソン病と痛み

パーキンソン病2018.01.26

1月後半になって寒い日が続き、いよいよ本格的な冬の到来です。
私が日課にしている朝の犬の散歩では、この底冷えの寒さに「凍えて歩けないよ…」と、
2匹のうちの兄犬がジーッと目で見つめて抱っこを求めてくる毎日です。

先日クリニックに3回目で来られたパーキンソン病の患者さん。
とてもすっきりした表情で「痛みがとれて嘘みたく良くなりました」と感慨深げのご様子でした。

この患者さんは、身体の動きそのものは概ね問題ないのですが、5年前より背中や胸の痛みを慢性的に感じ始め、
常に火照るような、じっとしていられない不快感にながく悩んでおられました。
これまでいろいろな検査・薬物治療を受け、痛みを緩和するレーザー治療や、お腹の手術まで受けたと聞いています。
ところが症状は一向に辛くなるばかりで、12月にはじめてクリニックに来られたときは、
痛み・不安のために日常生活が儘ならないご様子でした。

診察すると、右側にわずかな手足のこわばり(筋強剛)があり、初期のパーキンソン病と考えられました。
確認のためにおこなった脳内ドーパミンを測定するDATスキャン検査でもパーキンソン病の結果でした。

パーキンソン病患者さんのなかには、この患者さんのように不快な痛みを感じる方もおられます。
原因はわかっていない部分も多いのですが、ドーパミンやセロトニン・ノルアドレナリンを増やす治療を行うことで、
不快な痛み(非運動症状と呼ばれています)が良くなる方もおられます。

一般的に、パーキンソン病の代表的な症状である「手のふるえ」があると、
患者さんやご家族がパーキンソン病を心配して医療機関を受診することが多く、
早めに診断がつくことが多いように思います。
一方で、この患者さんのようにふるえが目立たず、身体の動きもまずまず調子よいといったときには、
パーキソン病の診断に至るまで時間を要する印象があります。

辛い症状だけど、どこの科にかかってよいかわからない・・・
お困りのときは、神経内科へ相談することも覚えていただけると嬉しいです。 

廣谷 真

廣谷 真Makoto Hirotani

札幌パーキンソンMS
神経内科クリニック 院長

【専門分野】神経内科全般とくに多発性硬化症などの免疫性神経疾患、末梢神経疾患
眼瞼けいれん・顔面けいれん・四肢の痙縮に対するボトックス注射も行います。

【趣味・特技】オーケストラ演奏、ジョギング、スポーツ観戦、犬の散歩