Dr Makoto’s BLOG

ながく・安全に

多発性硬化症2019.09.08

大通公園ではオータムフェストが開幕しましたが、秋とは思えないほどの陽射しと陽気です。
近くの公園では子供たちが川で水遊びをしていて、まるで夏に戻ったような気分になります。

この秋は多発性硬化症(MS)の講演会が続いています。
MSの研究を中心に過ごした30代前半。当時学会などで一緒に活動していた方々が、10年ほど経って実にたくさんの成果を出されています。来札された講演会でたくさんの話を聞き、活躍の様子に直に触れることはとてもワクワクし、大きな刺激になります。

MSの治療はここ10年で劇的に進歩しています。以前は「再発しないようにする」ことが治療の大きな目的でした。最近は、再発を抑えるのはもちろんのこと、10年後や20年後を見据えた障害の進行を防ぐこと、脳の萎縮を防ぐこと、症状には現れないような脳の新たな病変を防ぐことも治療の大きな指標とされるようになっています。治療効果の高い薬剤が登場し、治療の選択肢が増えていることが背景にあり、現在は早期から患者さんひとりひとりにあった適切な治療を提供することが求められています。

現在使用することができるMSの治療薬は、基本的に身体の免疫機能を抑える、調整することで効果を発揮しますが、治療効果が高い薬剤ほど、様々な副作用・合併症のリスクも増えるとされています。一方でMSの病勢(活動性とも言います)は患者さんによって様々ですので、活動性の高い患者さん、活動性の高くない患者さんを、「MS」という診断だけで画一的に治療していくことは望ましくありません。どのような患者さんにどのような治療を行うのが望ましいか、これはMSに限ったことではありませんが、治療薬が増えてきたMSの分野ではこのような課題がここ数年で議論されています。
ながく・安全に病気をコントロールし、できるだけ健康な日々を過ごせること。これはMSふくめたすべての病気への願いです。

降って湧いてきた夏のような夜。講演会の帰り道では、大通公園の芝生やベンチに座りながら賑やかに談笑している若者たちの姿が印象的でした。

廣谷 真

廣谷 真Makoto Hirotani

札幌パーキンソンMS
神経内科クリニック 院長

【専門分野】神経内科全般とくに多発性硬化症などの免疫性神経疾患、末梢神経疾患
眼瞼けいれん・顔面けいれん・四肢の痙縮に対するボトックス注射も行います。

【趣味・特技】オーケストラ演奏、ジョギング、スポーツ観戦、犬の散歩