Dr Makoto’s BLOG

むずかしいけど大切な話~難病医療費助成制度のこと

神経内科2017.02.15

パーキンソン病や多発性硬化症、脊髄小脳変性症など、クリニックに来られる多くの方が
「難病医療費助成制度」を利用されています。

この制度は平成27年1月1日に施行されていますが、
平成29年12月いっぱいまで移行期間が設定されています。
つまり、現在は「移行期間なので、なにかと特例扱いしますよ」という時期になっているのですね。

「移行期間」という響き、、、あまり良い印象を受けない方も多いのではないでしょうか?
たいていは移行期間が過ぎると、何事もあまり思わしくない方向に動くことが多いのです。
この難病医療費助成制度も同じことが当てはまります。。。

いちばん重要な点は「患者さんが支払う自己負担額の上限」です。
医療費自己負担の上限額が、移行期間が終了すると倍に引き上がります。
たとえば、月の自己負担上限額が10,000円の方は20,000円となってしまいます。
月に10,000円上限が上がるとなると、年間で12万円の自己負担増となってしまうのです。
・・・まったく困った話ですよね。

ただ、そこにも「高額かつ長期」特例を設定してくれていまして、
「1か月の医療費が50,000円を超えた月が6回以上あれば、自己負担上限額を半分にします」という制度です。
この50,000円という金額は病院での再診料・指導料、薬局での薬剤費、訪問看護費などの
総額(自己負担額ではなく総額分)になります。
ご自分でいくらの金額がかかっているかは、毎回医療機関に提出する「自己負担額管理票」
に記載がありますので、確認してみてください。

自己負担額管理票で、ひと月の医療費が50,000円を超えている方は、
「高額かつ長期」特例となり、来年から自己負担額が増額となることはありませんのでご安心ください。
(「高額かつ長期」特例の手続きは必要となります。)

問題なのは、「50,000円を超えていない方が、このままでは自己負担額が倍増する可能性が出てくる」という点です。
このような場合は、毎月薬剤処方を受けておられる場合には、処方を2か月ごとに行うことにより、
はじめてひと月の医療費が50,000円を超えることがあります。
クリニックでは患者さんの病状が落ち着いていれば、自己負担上限を維持できるための工夫として、
処方期間を2か月にすることにももちろん対応します。

なかなかむずかしく、理解しにくい仕組みですが、知らないと家計に大きく影響する大切な話です。
自分はどうなんだろう?と疑問・不安をお持ちの方はクリニックスタッフへお気軽にご相談ください。
ベストな方法を提案してまいります。





 

廣谷 真

廣谷 真Makoto Hirotani

札幌パーキンソンMS
神経内科クリニック 院長

【専門分野】神経内科全般とくに多発性硬化症などの免疫性神経疾患、末梢神経疾患
眼瞼けいれん・顔面けいれん・四肢の痙縮に対するボトックス注射も行います。

【趣味・特技】オーケストラ演奏、ジョギング、スポーツ観戦、犬の散歩