Dr Makoto’s BLOG

意識して唾液をごっくん

パーキンソン病2021.05.09

連休が明けるのを待っていたかのように急に暖かくなりました。
先日行われたオリンピックテスト大会の札幌チャレンジハーフマラソン。本番は大通公園がゴールのようですが、今回テスト大会のゴールは、なんとクリニックの目の前でした。見慣れた風景のはずですが、テレビ越しにみると、なんとも別の場所にみえるから不思議です。
 
クリニックのリハビリテーションでは言語療法に励んでいる患者さんがたくさんいます。
声を大きく出したい、家庭や職場で滑舌よくコミュニケーションをとりたい、ムセずにしっかり飲み込めるようになりたい…みなさんが様々な目的を持ちながら頑張っておられます。
 
パーキンソン病患者さん・ご家族からよく受ける相談のひとつ、「唾液が増えてよだれが出やすいのですがどう対処したらよいですか?」。パーキンソン病で唾液が増える原因は一律ではないのですが、おもに嚥下障害(飲み込みの低下)、閉口障害(上手く口を閉じることができない)、姿勢異常(とくに首が前屈してしまう)、唾液量が増えることが関連すると言われています。
 
治療薬や言語療法での治療に加え、日常生活で意識できることのひとつに、「意識して唾液をごっくんする回数を増やしてみましょう」と私は伝えています。パーキンソン病患者さんは無意識のうちに嚥下(飲み込み)回数が減ってしまっていますので、唾液が溜まりやすくなってしまいます。また、無意識の嚥下というのは、誤嚥(気管に唾液や食物が入ってしまうこと)のリスクとなりやすいため、意識して嚥下することは、口腔内の唾液を減らすこと、さらには誤嚥の予防にもつながります。
 
ガムを噛んでいるパーキンソン病患者さんをときどき見かけますが、ガムを噛むことで嚥下の回数が増え、嚥下がスムーズにしやすくなるとも報告されていますので、理に適っているようですよ。
 

廣谷 真

廣谷 真Makoto Hirotani

札幌パーキンソンMS
神経内科クリニック 院長

【専門分野】神経内科全般とくに多発性硬化症などの免疫性神経疾患、末梢神経疾患
眼瞼けいれん・顔面けいれん・四肢の痙縮に対するボトックス注射も行います。

【趣味・特技】オーケストラ演奏、ジョギング、スポーツ観戦、犬の散歩