Dr Makoto’s BLOG

訪問リハビリあれこれ ~外来リハビリとの併用や専門性などなど

パーキンソン病2022.12.11

「ついに降ってしまいましたね」、そして、「よいお年を」。診察室ではそんな挨拶が聞かれる時期になりました。今年最後の診察となる多くの患者さん・ご家族へ、「なんとか無事に新年を迎えられそうでホッとしています」とも伝えています。
 
クリニックで外来リハビリテーションを受けている患者さんのなかには、通院が大変となる冬期間に、訪問リハビリテーションへ切り替える方がおられます。とくに、リハビリテーションで筋肉のこわばりを和らげたり、バランス訓練を中心にしている方は、リハビリテーションの間隔が空いてしまうと症状が目立つことが多いので、なるべく頻度を保ちたいところです。パーキンソン病患者さんのリハビリテーションは専門的な要素も大きいのですが、冬期間の通院が難しい場合には、地域の訪問看護ステーションへリハビリテーションをお願いし、自宅で体調を維持していくことも方法です。
 
最近はリハビリスタッフが在籍している地域の訪問看護ステーションが増えています。「訪問看護」という名目ではありますが、実際には自宅でリハビリテーションを受けることもできるようになっています(もちろん看護師さんも訪問します)。
 
この訪問看護サービス、一般に介護保険が利用されることが多いのですが、大半の神経難病患者さんは医療保険を利用することができます。つまり、介護保険の認定に関わらず、クリニックから訪問看護ステーションへ直に依頼することが可能です、そのため、リハビリテーションを希望される患者さんには、パーキンソン病をはじめとする神経難病の経験が豊富な訪問看護ステーションへ、クリニックからお願いすることもあります。なお、訪問看護は特定医療費、いわゆる難病手帳の助成対象になりますので、月々の自己負担上限を超える医療費は発生しない仕組みになっています。
 
また、この医療保険を利用した訪問リハビリテーションは、当院の外来リハビリテーションとの併用が可能です。たとえば、頻回の通院が難しい冬期間は、医療保険の訪問看護リハビリテーションを中心にして、月1回の受診時にこれまで通りクリニックで外来リハビリテーションを受け、体調チェックすることも可能です。
 
一方で、神経難病の専門的な訪問リハビリテーションという点では、当院で実施している訪問リハビリテーションがあります。こちらは基本的に介護保険を利用するリハビリテーションで、ケアマネジャーを通じての段取りが必要になりますが、現在もたくさんの患者さんに利用していただいています。やはりこちらも難病手帳の助成対象になりますので、月々の自己負担上限を超える医療費は発生しない仕組みになっています。
 
訪問リハビリテーションと一口で言っても、専門性をどの程度優先するか、医療保険・介護保険のどちらを利用するか、外来リハビリテーションとの併用が可能かによって、選択肢が変わっていきます。リハビリテーションの通院に関わることでご相談があれば、お気軽にスタッフへお声かけください。


~大雪山系・天人峡の柱状節理

廣谷 真

廣谷 真Makoto Hirotani

札幌パーキンソンMS
神経内科クリニック 院長

【専門分野】神経内科全般とくに多発性硬化症などの免疫性神経疾患、末梢神経疾患
眼瞼けいれん・顔面けいれん・四肢の痙縮に対するボトックス注射も行います。

【趣味・特技】オーケストラ演奏、ジョギング、スポーツ観戦、犬の散歩