Dr Makoto’s BLOG

パーキンソン病治療薬の適切な量とは? 

パーキンソン病2022.12.19

寒波到来で札幌にもしんしんと積もる雪…雪かきで忙しい週末の朝となった方も多いのではないでしょうか?
 
「パーキンソン病の治療薬はどれくらいの量が適切なのでしょうか?」患者さんからよくいただく相談のひとつです。とても難しい質問ですが、ひとつ「患者さんの生活や希望にあわせて決めた量が適切な量」と言えるかと思います。
 
パーキンソン病と診断を受けて、どの薬剤から治療を開始することになるでしょう?年齢はもちろん、就業しているか、気分の変動はどうか、薬剤をしっかり内服できるか、運転の有無など、様々なものを考慮して薬剤を選択していきます。多くの場合はレボドパかドパミンアゴニストで治療を開始することが多く、なによりレボドパの量を必要最低限に、なるべく抑えていきたいというのが原則です。毎年のように新しい薬剤が発売される現在でも、レボドパは昔からあるパーキンソン病治療薬の基本で、効果は一番です。レボドパの難点は、効いている時間がやや短く、一日3回内服しないと安定したドパミン濃度を得られにくいということ。レボドパでいちばんの問題となるウェアリング・オフ現象やジスキネジアの運動合併症を予防するためには、病初期のレボドパを300㎎/日以内に抑えていることが多いと思います。
 
パーキンソン病と診断されて間もない頃は、少量のレボドパにドパミンアゴニストや補助薬を併用することが一般的です。一種類の薬剤だけで量を増やしていくというよりは、複数種類の薬剤をまんべんなく併用していく。最近のドパミンアゴニストや補助薬(MAO-B阻害薬)は一日1回の内服でドパミン濃度が安定しやすくなるため、レボドパの量を抑える効果も期待されます。
 
お仕事をしている患者さんは、どうしても一定のパフォーマンスが求められるために薬剤量が多くなる傾向があります。とくに効き目の点から、レボドパの量が多くなる傾向にあります。
一方で、お仕事をしていない患者さんでも、運動合併症予防目的の少量レボドパで治療では、効果に満足がいかず、「将来のためにレボドパを残しておくよりも、今の状態をもっと良くしたい」と、レボドパの増量を希望する方もおられます。
 
パーキンソン病治療薬の適切な量を一概には言えませんが、レボドパは効果が出やすいとともに、運動合併症のリスクも上がってきます。患者さんの人生設計にあわせてレボドパをどの程度利用していくか、そしてドパミンアゴニストや補助薬をどの程度併用していくか、都度相談しながら決めていくと、その患者さんにあった適切な量が自ずと決まってくると思っています。


~春のオンネトー

廣谷 真

廣谷 真Makoto Hirotani

札幌パーキンソンMS
神経内科クリニック 院長

【専門分野】神経内科全般とくに多発性硬化症などの免疫性神経疾患、末梢神経疾患
眼瞼けいれん・顔面けいれん・四肢の痙縮に対するボトックス注射も行います。

【趣味・特技】オーケストラ演奏、ジョギング、スポーツ観戦、犬の散歩