Dr Makoto’s BLOG

自分のトリセツ ~CMT交流会に参加して

神経内科2017.10.14

シャルコー・マリー・トゥース病(Charcot-Marie-Tooth病、略してCMT病)という病気をご存知でしょうか?
おもに手足に走っている末梢神経の調子が悪くなり、長い年月をかけて筋力低下がゆっくりと進んでしまう病気です。
本日、患者さん団体である「CMT友の会 札幌交流会」に参加し、リハビリ室長とともに講演をさせていただきました。

今回の交流会のメインであるCMT患者さんによるシンポジウムは、深い話があり、笑いもあり、
とても心に響く素晴らしいシンポジウムでした。
3名のシンポジストが、CMT病を発症してから学校生活、恋愛、友人関係、就職、結婚、趣味、出産などをどのように感じ、
どうやって付き合ってきたかを語っていきます。

手が不自由なために、書いたメモを読み返してみても自分の字ながら全然読めない…、
「それなら頭で覚えるしかない!」と頭をフル回転させているうちに記憶力に自信がついたという功名。
はたまた、ワープロでキーボードを打ちにくくなっていた頃、ひょんなことで大好きなお酒を飲まない日に、
キーボードを打ちやすいことに気づき、禁酒に成功(笑)したことなどなど。
一方で、周囲との違いを受け入れられず無意識に病気を隠していた学生時代、
自分のやりたい仕事よりも障害枠雇用を持っている会社を優先して就職先候補に挙げていた20代、
こどもの出産に関して自分の病気を悔やんでいるところへ最愛の妻からの叱咤激励、など、
年齢・ライフイベントで揺れ動いてきた葛藤も伝わってきました。

とくに印象に残ったのが「自分のトリセツ(取扱説明書)を更新していく」という考え方を聞けたこと。
その年齢ごとに自分の病気の状態も変わり、そして病気への向き合い方も変わっていくので、
「いまの自分のトリセツ」をしっかり持っていること、そしてそれをどんどん更新していくことが大切なんだと。
大変勇気のある、懐の深い気概で、CMT病・神経難病に限らず、私もふくめ多くの人が参考にしたい生き方だと感じました。

(講演会終了後の写真 みなさまから掲載の同意を頂いています) 

廣谷 真

廣谷 真Makoto Hirotani

札幌パーキンソンMS
神経内科クリニック 院長

【専門分野】神経内科全般とくに多発性硬化症などの免疫性神経疾患、末梢神経疾患
眼瞼けいれん・顔面けいれん・四肢の痙縮に対するボトックス注射も行います。

【趣味・特技】オーケストラ演奏、ジョギング、スポーツ観戦、犬の散歩