Dr Makoto’s BLOG

冷えは万病のもと ~寒さとこわばりの関係

パーキンソン病2023.12.24

クリニックの診察室からは、向かいにあるヨドバシカメラの駐車場が目に入ります。いつもは屋上に駐車している車が少ないのですが、年末になると屋上の駐車場がびっしり埋まっていきます。クリニックで働きはじめてから、年末を感じる風景のひとつになっています。新型コロナウイルス感染症が5類に変わってから初めての年末、街中はたくさんの人で賑わっているようです。
 
今月クリニックにいらしたパーキンソン病患者さんからは、「ここのところ身体のこわばりが目立つ気がする」という声をよく聞きます。詳しく話を伺いますと、手の動きがぎこちない、歩幅が小さくなってしまうといった症状です。実際に拝見していきますと、患者さんが従来からこわばりの目立つ側(左側・右側)の手足に使いにくさを感じておられるようです。
 
パーキンソン病症状のひとつである固縮(こわばり)は、パーキンソン病の進行によって強くなることがありますが、その他にも様々な要素に影響を受けると考えています。そのひとつに「寒さ」があり、寒さによってこわばりが強く感じることもあるように思います。
 
健康な方でも、寒さのために身体が緊張してしまうことがあります。気づくと、寒さのために肩に力が入っていることに気づくことも多いのではないでしょうか。パーキンソン病患者さんには、「パーキンソン病は上手く力を抜けない病気」とお伝えしています。普段からどうしても力が入りやすくなってしまうため、知らず知らずのうちにこわばりが出てきてしまいます。そのため、パーキンソン病患者さんが、寒さのためにこわばりがさらに強くなってしまうのは、致し方ないところがあるかもしれません。
 
春から秋にかけて、こわばりがさほど変わってこなかったのに、この11月・12月あたりから「こわばりが強くなった」とお話されるパーキンソン病患者さん。患者さんからは「病気が進行しているのでしょうか?」と不安げに相談を受けますが、ひとりの患者さんをながく拝見していますと、このような場合は、暖かくなる春先からこわばりが楽になっていくことが多いと感じています。

冬に入ってきた今時期のこわばりは、必ずしも病気が進行しているということではなく、寒さによって一時的にこわばりが変化することがある、ということも頭にいれていただきたいことです。このようなときには、急いでドーパミン治療薬を増量することなく、重ね着やカイロなどでこわばりの強い側を暖める、シャワーのみで済ませている方はしっかり入浴もする、電気毛布やタオルケットを追加して布団を暖かくするといった対策で、こわばりが楽になっていくこともあります。
 
冷えは万病のもと、とは広く知られている格言です。是非とも北海道の冬を暖かくしてお過ごしください。
 

~国道273号線の三国峠と石狩岳
 
 

廣谷 真

廣谷 真Makoto Hirotani

札幌パーキンソンMS
神経内科クリニック 院長

【専門分野】神経内科全般とくに多発性硬化症などの免疫性神経疾患、末梢神経疾患
眼瞼けいれん・顔面けいれん・四肢の痙縮に対するボトックス注射も行います。

【趣味・特技】オーケストラ演奏、ジョギング、スポーツ観戦、犬の散歩