Dr Makoto’s BLOG

納得できるということ

神経内科2017.02.22

本日クリニックにご夫婦で来られた患者さん。
ふらつきがあるものの他科の検査では問題なく、「年齢の影響があるのでしょう」と説明をうけ、
しぶしぶ納得されてきたご主人。
筋肉の病気で治療を受け、力のはいりにくさが残っているものの、現在は採血も良くなっているので、
「病気としては何ら心配ありません」と説明をうけ、しぶしぶ納得されてきた奥様。

 一つの科で診療を受けると、とある専門の病気は否定され、患者さんは一時安心するものの、
時間が経つにつれて「なのにどうして不調が続くのか?」と疑問をもってしまわれます。
こう感じられるのはある意味当然のことで、そのために次々と多くの病院を受診される方もおられます。

 大切なことは「困っている症状を詳しく聞き取って、診察しながら身体のどこに不調があるのかを把握していく」ことで、「必ずしも検査がすべてではない」というのが神経内科の基本的な考え方です。

 前述のご主人は、診察の結果、以前の脳梗塞の影響でふらつきがあったものの、
これまでなんとかご自身の筋力でふらつきをカバーしてきたところ、
最近になりカバーしきれなくなったためにふらつきが強くなってきました。
奥様は筋肉の炎症は落ち着いているものの、
診察とMRIからは当初の炎症の影響で腹筋を中心とした体幹の筋萎縮が強く、
そのために身体が前かがみになっておられました。

 いずれも残念ながら「特効薬がある」状況ではないのですが、
体幹のコルセットを使用したり筋力トレーニングの方法を少し変えることで、
今より症状と付き合いやすくすることができます。
なにしろ、「自分の身体が今どうなっているのか」を理解していただき、
特効薬がないなかでも「納得できる」ことで、
今よりも前向きに日々の生活を送ることができるようになると信じています。

 「患者さんが納得できる診療」を常に心がけて、日々の診療にあたっています。

廣谷 真

廣谷 真Makoto Hirotani

札幌パーキンソンMS
神経内科クリニック 院長

【専門分野】神経内科全般とくに多発性硬化症などの免疫性神経疾患、末梢神経疾患
眼瞼けいれん・顔面けいれん・四肢の痙縮に対するボトックス注射も行います。

【趣味・特技】オーケストラ演奏、ジョギング、スポーツ観戦、犬の散歩