クリニック2025.06.16
札幌まつりを迎えるこの時期は、一年でいちばん陽が長くなります。朝目覚めたときは既に明るく、そして帰宅するときにもまだ明るい。陽がながいお陰で、なんだか一日が長いような錯覚。ちょっとしたお得感に、ついつい嬉しくなっています。
進行性核上性麻痺と皮質基底核変性症という病気をご存知でしょうか?
動作に時間がかってしまう、バランスがとりにくく転びやすくなってしまう、身体がこわばってしまう、といった症状を「パーキンソン症状」と呼びます。パーキンソン症状の原因はパーキンソン病がいちばん多いのですが、必ずしも「パーキンソン症状」イコール「パーキンソン病」ということではありません。パーキンソン病とは異なる「パーキンソン症候群」によって、パーキンソン症状が出てくることがあります。このパーキンソン症候群の代表的な疾患が、進行性核上性麻痺(PSP)と皮質基底核変性症(CBD)です。耳慣れない、長くてむずかしい病名で、実際に患者さんやご家族へお伝えするときにも、初めてお聞きになったという方がほとんどです。
患者さんの数はとても少なく、人口10万人あたりの患者さんの数で言いますと、パーキンソン病患者さんが100-150人おられる一方で、進行性核上性麻痺患者さんは20人弱、皮質基底核変性症患者さんは10人弱と言われています。そのために、診断がつくまで時間がかかったり、なかなか十分な治療やケアを受けることができない方も拝見します。クリニックにも進行性核上性麻痺や皮質基底核変性症の患者さんが通院されていて、みなさん日々治療やリハビリテーションに励んでおられます。
患者さんやご家族、市民、医療関係者を対象にお話させていただく講演会では、どうしても患者さんが比較的多いパーキンソン病についてお話する機会が多くなってしまいます。今回は北海道難病連さんの主催で「進行性核上性麻痺と皮質基底核変性症の治療とケア」についてお話する機会をいただきました。
現在まで「PSP・CBDのぞみの会」という患者会が熱心に活動され、貴重な情報を発信されていますが、患者さん・ご家族の当事者同士で顔を合わせたり、情報交換できる機会は少ないようです。実際に進行性核上性麻痺や皮質基底核変性症患者さんに関わらせている一医療者としてお話をさせていただき、患者さんやご家族と交流できることを待ち望んでいます。ご興味のある方は下記へお問い合わせください。
廣谷 真Makoto Hirotani
札幌パーキンソンMS
神経内科クリニック 院長
【専門分野】神経内科全般とくに多発性硬化症などの免疫性神経疾患、末梢神経疾患
眼瞼けいれん・顔面けいれん・四肢の痙縮に対するボトックス注射も行います。
【趣味・特技】オーケストラ演奏、ジョギング、スポーツ観戦、犬の散歩
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