Dr Makoto’s BLOG

たくさん食べてたくさん出す ~エネルギーの収入と支出

パーキンソン病2022.03.06

最近は健康寿命という言葉がよく聞かれるようになりました。
毎朝愛犬の散歩へ行きますと、近くの公園では実にたくさんの方が、ラジオ体操やウォーキングをしながら健康づくりに励んでおられます。
 
年齢を重ねるにつれて減っていくもののひとつに「基礎代謝」があります。
基礎代謝とは、だまっていても自然に身体のなかで利用されていくエネルギーのことで、言わば「身体のエンジン」のようなものです。年齢を重ねていくと、このエンジンがだんだん小さくなっていくために、どうしても体力や筋力が落ちたり、疲れやすくなる方が多いようです。前より食べる量が減っていくというのも、基礎代謝が下がってきていることが影響するようです。
 
健康寿命を長くするために、まずは運動!と取り組むことはとても大切です。一方で、食事で栄養をしっかり摂取するということも、同じくらい大切なことです。
基礎代謝を高め、身体のエンジンを大きくするために、たくさんのエネルギー・栄養を摂取して(収入)、たくさん運動をする(支出)ことがポイントと感じています。身体への「収入」も「支出」もできるだけ大きくしていくことで、基礎代謝が高まっていき、運動の効果も出やすくなってくると言われています。このエネルギーでいちばんの栄養源は炭水化物です。
 
世間で言われるダイエットでは、炭水化物を控えて…という風潮がまだまだあるようです。炭水化物を控えると一時的に体重は減るかもしれませんが、同時に筋肉量も減ってしまいます。その結果、どうしてもエンジンが小さくなり、最終的には基礎代謝が下がりやすくなってしまいます。基礎代謝が下がっていくと、胃腸の消化や吸収が上手く機能せず、便秘やむくみも出やすくなっていきます。
 
炭水化物をふくむ栄養をしっかり摂取して(収入)、加えて運動を取り入れることで(支出)、基礎代謝を高め、身体のエンジンを高めていく。パーキンソン病患者さんに起こりやすい便秘対策のひとつとして、「たくさん食べてたくさん出す」ということも意識してみてはいかがでしょうか。

 

廣谷 真

廣谷 真Makoto Hirotani

札幌パーキンソンMS
神経内科クリニック 院長

【専門分野】神経内科全般とくに多発性硬化症などの免疫性神経疾患、末梢神経疾患
眼瞼けいれん・顔面けいれん・四肢の痙縮に対するボトックス注射も行います。

【趣味・特技】オーケストラ演奏、ジョギング、スポーツ観戦、犬の散歩