Dr Makoto’s BLOG

236の思い出

旅行2023.05.07

国道236号線、通称「天馬街道」。胆振の浦河町から日高山脈を越え、十勝南部の広尾町、大樹町、中札内村を通って帯広へ向かう雄大なルートがあります。このルートの建設に27年かかったため、開通したのは1997年と、まだ比較的新しい国道です。「天馬街道」という名称は、日高のサラブレッドと十勝のドサンコが空高く舞うというイメージからつけられたそうです。
 
今から約20年前、仕事駆け出しの頃に帯広で勤務していたところ、浦河方面からこの天馬街道を利用して帯広まで通院する患者さんがいたことに、当時はすごく驚いたものでした。天馬街道という響きと日高山脈を越えるというルートに、いつかは通ってみたいと思っていました。今回の連休で、初めて天馬街道を通ることができました。
 
浦河の太平洋から街道がスタートすると、スケールの大きな馬牧場の間を縫うように道が続いていきます。天気が良く、陽射しもしっかりあるのですが、この地域はさほど陽の強さを感じないのが不思議です。そして、あちこちに見える馬の姿がとっても綺麗で、運転していても飽きないのです。ちなみに、街道沿いには「馬横断注意」という、あまり見慣れない看板がたくさん並んでいましたよ。
 
街道は真っすぐ進んでも、カーブで左右に曲がっても、常に視界の前方に日高山脈の山々が居座っています。1000m以上の高山帯には残雪がまだまだ多く、晴れた青空に美しく映えます。街道に峠と呼ばれるところはないのですが、日高山脈のなかでも、楽古岳(1471m)と神威岳(1600m)の中間にあたるエリアで、山越えをしていきます。山越えのハイライトは全長4232mの野塚トンネルで、ここを超えると一気に十勝に入っていきます。北海道に住んでいると、国境や県境を感じることがないので、日高から十勝へ山越えできるだけで気分が上がってくるのです。
 
野塚トンネルを超えて十勝に入っていくと、少しずつ高度が下がっていき、だんだんと牛牧場が増えていきます。馬が牛に変わっただけで、長閑な光景はそのまま、ずっとずっと運転していたい気分です。そして街道が広尾の太平洋に着いた時のちょっとした達成感は、気分が自然に上がってきます。大樹町から中札内村を通るときに見える雄大な日高山脈の山々が美しく、このままここに定住してしまおうか!なんて、夢を見ながら車を走らせていました。渋滞知らずの快適な国道でしたが、帯広市街へ近づくにつれ、交通量が徐々に増えていき、帯広名物のインデアンカレーは沢山の家族連れで賑わっていました。
 

~様似町・アポイ岳から望む太平洋

廣谷 真

廣谷 真Makoto Hirotani

札幌パーキンソンMS
神経内科クリニック 院長

【専門分野】神経内科全般とくに多発性硬化症などの免疫性神経疾患、末梢神経疾患
眼瞼けいれん・顔面けいれん・四肢の痙縮に対するボトックス注射も行います。

【趣味・特技】オーケストラ演奏、ジョギング、スポーツ観戦、犬の散歩