パーキンソン病2026.04.12
先日、北祐会全体で12名の新人を迎える歓迎会が開催されました。新卒の若さ漲る元気なスタッフから、他の医療機関・事業所で経験を積んできたベテランまで多種多様なスタッフ達です。新しい人が加わることは、北祐会が新たなポテンシャルを得るという、とても喜ばしいことです。ちなみに、自己紹介はバラエティに富んでいて、ファイターズのレイエス選手のものまねを披露した元気な女性スタッフには、大きな歓声があがっていましたよ。
パーキンソン病を診断するときに実施することが多いDATスキャン(ドーパミントランスポータSPECT)。この検査では患者さんの脳内ドーパミン神経終末の密度をSBR(Specific Binding Ratio)という数字で数値化することができます。SBRはだいたい5-8くらいに収まるのが正常ですが、パーキンソン病患者さんではこのSBRが下回っています。その不足しているドーパミン神経終末分のドーパミンを、薬剤で補充していくことが治療の基本です。
実は、健康な方でも、年齢とともに脳のドーパミン神経終末は減っていき、SBRも緩やかに下がっていくとされています。パーキンソン病患者さんに薬剤でドーパミンを補充していっても、残念ながら脳のドーパミン終末は減ってしまいますので、同じ薬剤を続けていくだけでは、やがてトータルのドーパミンは不足してしまいます。それはどんな症状でわかるのでしょうか?
最近ふるえが目立つようになったという患者さん、ふるえは比較的目で見て分かりやすい症状です。その他には、最近足があがりにくくなってすり足になったという患者さん、最近ベッドからの起き上がりに2-3回を要するようになったという患者さん、最近前かがみの姿勢がめだってきたという患者さん…。ご自分で症状の変化に気付いている患者さんもいれば、自分では変化に気づいていない患者さんもおられます。毎月の診察ではこれらの症状を客観的に評価し、リハビリテーションや内服の工夫、食事や睡眠のコントロールでドーパミンが回復するように整えていきます。それでも症状が目立ってしまう場合には、治療薬を調整してドーパミンの補充を強化していくことになります。
この「いつ薬剤の増量をするか?」というタイミングを計るのが難しいのです。タイミングが早すぎると眠気やジスキネジアなど副作用の懸念がありますし、タイミングが遅すぎると筋固縮が十分に回復しないことも懸念されるためです。
私は、新たな治療を納得して選択できるように、3-6ヶ月ほどの猶予期間、つまり「今すぐ決めなくても良い期間」を設けるようにしています。たとえば「今は夕方にかけてドーパミン濃度が下がりやすく、筋肉のこわばりが目立ちやすくなっているので、昼寝など休息時間を多めに設定しながら回復を促していきましょう。それでも回復が不十分な場合には、薬の調整を3か月ほどかけて相談していきましょう」というものです。
患者さんからは「薬が増えるのも心配」という声の一方で、「薬がずっとかわらないのも心配」といった声も聞きます。減っていくドーパミン神経終末にみあったドーパミン補充治療がされているか、そしてドーパミンを最大限に分泌できるような生活パターンになっているか(睡眠時間や食事・内服時間、便通はどうか、仕事や家事で疲労が蓄積していないか)を一緒に考えていくことが、診察室で行われています。
毎日の診察室では固縮・振戦・バランスといったパーキンソン症状の評価はもちろんのこと、日常の生活を一緒に振り返っていくことが、診察の8割を占めています。そして、残りの2割は他愛もない雑談で、患者さんが普段どんなことに興味をもっているのか、どんな悩みやこれからへの期待をもっているのか、いつも興味深くきかせていただいている毎日です。
~大雪山・化雲岳からみるチングルマと旭岳


廣谷 真Makoto Hirotani
札幌パーキンソンMS
神経内科クリニック 院長
【専門分野】神経内科全般とくに多発性硬化症などの免疫性神経疾患、末梢神経疾患
眼瞼けいれん・顔面けいれん・四肢の痙縮に対するボトックス注射も行います。
【趣味・特技】オーケストラ演奏、ジョギング、スポーツ観戦、犬の散歩
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