Dr Makoto’s BLOG

家族の絆とマッサージ

パーキンソン病2022.06.27

あっと言う間に夏がやってきました。札幌でもジリジリ照らす太陽の光が肌に痛く、湿度もかなり高いようです。待っていました、という感じでしょうか。

暖かくなってきて、カラダの緊張が緩くなってきた影響でしょうか、パーキンソン病患者さんには体調が良い方も多いようです。足首や肩甲骨まわりの筋肉の緊張が和らいで足が軽くなった、肩周りが楽になったという声を聞くようになっています。
 
パーキンソン病は時間が経つほど、筋肉のこわばりが蓄積されていく傾向があります。この長い歴史のあるこわばりを軽くすることは容易ではないようです。それでは、からだのあちこちでこわばっている筋肉のうち、いったいどこを重点的にほぐしていったらよいのでしょうか。
 
いちばんは肩甲骨周囲の硬さを和らげてあげること。両手を真上にピッと上げて両耳のラインよりも後に届くように意識して伸ばしてあげます。両手でタオルを持って、頭の後ろで両腕をゆっくり円を描くように動かす。これは内側に入りがちな肩の位置を矯正するのに役立ちますし、肩甲骨が張ってついつい猫背になってしまう姿勢を矯正することができます。
 
次に大事なのがふくらはぎ・アキレス腱まわりを和らげること。パーキンソン病の方の歩きを拝見しますと、足先が浮かずに床についてしまう傾向がみられます。すり足の状態になりやすいために、足先が引っかかってバランスを崩したり、転倒しやすくなってしまうようです。ふくらはぎとアキレス腱をしっかり労わってマッサージしてあげることで、歩いた姿で足先がピッと浮くようになり、歩幅がとりやすくなっていきます。
 
パーキンソン病患者さんではとくに肩・肩甲骨・背中・臀部・大腿の裏側、ふくらはぎといった部位にこわばりが起きやすいのです。これらの場所に共通しているのは、すべて身体の裏側の筋肉ということです。身体の裏側のストレッチはなかなか大変ですが、ちょっとご家族に頼んでマッサージしてもらうのも良いかもしれませんね。家族の絆も深まって一石二鳥間違いなしですよ?

~芦別岳の雪渓

廣谷 真

廣谷 真Makoto Hirotani

札幌パーキンソンMS
神経内科クリニック 院長

【専門分野】神経内科全般とくに多発性硬化症などの免疫性神経疾患、末梢神経疾患
眼瞼けいれん・顔面けいれん・四肢の痙縮に対するボトックス注射も行います。

【趣味・特技】オーケストラ演奏、ジョギング、スポーツ観戦、犬の散歩