Dr Makoto’s BLOG

患者さんのアイデア

パーキンソン病2023.08.29

暑い暑い今年の夏、いったいどうしたものでしょう。
最近の診察室では「いやぁ暑いですね…夏バテ・食欲大丈夫ですか?」から診察が始まります。
 
クリニックに通って6年になるパーキンソン病患者さん。彼女がパーキンソン病を発症して10年以上が経ちますが、持ち前の明るさとエネルギーに、クリニックのスタッフはいつもパワーを頂いています。
 
彼女はウェアリング•オフと呼ばれる、1日の中でレボドパの効果に波が出るようになっています。これまでもクリニックから「パーキンソン病日誌」をお渡しして、1日のなかで調子の良い時間、調子の優れない時間をチェックしていただき、その日誌を参考に薬剤を調整してきたことがありました。
そのお陰もあり、だいたい3時間おきにレボドパを内服することで、なんとか調子を保てるようになりました。
 
最近はご自分のノートに、調子の良い時間帯を赤、調子の優れない時間帯を青で毎日チェックしたものを診察に持参して下さいます。
レボドパを内服した時間も赤線で示してくれるので、このノートを拝見すると薬の効き方が一目瞭然なのです。こちらから指定した表記ではないのですが、実に素晴らしいアイデアです。
 
先日、「ずっと書き続けるのも大変でしょう?」と尋ねたところ、彼女は「こうやって書くことで自分の調子が目でみるように分かるし、今日も1日だいたい同じように過ごせたことにほっと安心するんです」と話されました。彼女が自分なりのアイデアでパーキンソン病と向き合っている姿が、とても頼もしく感じています。
患者さんに様々な知恵や工夫を教えていただく毎日です。
 

~彼女のノートから(掲載に了承をいただいています、ありがとうございます)

廣谷 真

廣谷 真Makoto Hirotani

札幌パーキンソンMS
神経内科クリニック 院長

【専門分野】神経内科全般とくに多発性硬化症などの免疫性神経疾患、末梢神経疾患
眼瞼けいれん・顔面けいれん・四肢の痙縮に対するボトックス注射も行います。

【趣味・特技】オーケストラ演奏、ジョギング、スポーツ観戦、犬の散歩