Dr Makoto’s BLOG

梅雨明け前の48時間

旅行2025.07.28

先日、北アルプスの槍ヶ岳から双六岳にかけて歩いてきました。本格的な登山シーズンまであと少しの、梅雨明け前のことです。仕事を終えて飛行機で長野県・松本へ向かい、そのあとはバスを乗り継いで・乗り継いで…、岐阜県・奥飛騨の新穂高温泉へ向かいます。
 
頂上がピン!と槍のように鋭い槍ヶ岳は、北アルプスを歩いているとパッと視界に入りやすい、象徴的な山です。今回は2泊3日で新穂高温泉から槍平・飛騨沢を経て槍ヶ岳へ向かい、そして西鎌尾根を経て、黒部源流域の黒部五郎岳へ向かう、約50㎞の計画です。
 
梅雨が明けようとしている時期、毎日のように天気予報を気にしてはソワソワしていました。幸いにも、初日は好天に恵まれ、新穂高温泉から飛騨沢をゆっくり歩いていきます。槍ヶ岳へ通じるコースは幾つかありますが、比較的登山者が少ないこのコースは、沢の流れる音が心地よく、まるで北海道の山を歩いているような感じがしてきます。

ところが、このコースは、下りはおろか平らなところもほとんどなく、ひたすらに登り・登りが続いていくのです。槍平小屋を超えた後半になると、ザックの重みが余計にずっしりと感じるようになり、「あのTシャツが余計だった、あのお菓子が余計だった…」なんて、ザックに入れたものをちょっと悔やみながら、黙々と歩き続けます。それでも高度が上がっていくと、森林限界を超えて岩場が目立つようになり、開けた視界から百名山の笠ヶ岳を脇に眺めながら歩ける登山道は、実に気持ち良いものです。
 
槍ヶ岳の頂上からは穂高連峰や立山連峰、黒部源流域など北アルプスの全容を綺麗に拝めることが出来ました。頂上からこれだけ山・山・山と続いていく圧巻の景色は、なかなか北海道ではお目にかかることが少ないかもしれません。
 
翌朝は槍ヶ岳にかかる美しいご来光をみながら、西鎌尾根の稜線を歩いていく至福の時間から始まります。ところが、こんなに晴れて気持ち良い歩きをしていても、「山の天気は変わりやすい」とは言ったものです。この日は午後からあいにくの雨予報、翌日は台風の接近で大雨予報のため、泣く泣く黒部五郎岳は断念し、双六岳からそのまま新穂高温泉へ下山することになりました。
 
下山後のホッとした安堵感、なんともいえない充実感はいつもと変わらずでしたが、「いつか、また」と、ちょっと名残惜しく新穂高温泉を後にしました。貴重な48時間の夏休みとなりました。
 
~槍ヶ岳・西鎌尾根に続く黒部源流域の山々


 

廣谷 真

廣谷 真Makoto Hirotani

札幌パーキンソンMS
神経内科クリニック 院長

【専門分野】神経内科全般とくに多発性硬化症などの免疫性神経疾患、末梢神経疾患
眼瞼けいれん・顔面けいれん・四肢の痙縮に対するボトックス注射も行います。

【趣味・特技】オーケストラ演奏、ジョギング、スポーツ観戦、犬の散歩