Dr Makoto’s BLOG

HALと自信・モチベ―ション

クリニック2019.04.22

今朝、公園のソメイヨシノの蕾がだいぶふっくらとしていました。
いよいよ桜の開花、満開までカウントダウンがはじまったようです。

先日クリニックに来られたミオパチーの患者さん。
ミオパチーとは筋肉の疾患の総称で、患者さんは成人になってから次第に手足の筋肉に力が入りにくくなっています。そんななかでも、現在も仕事に精を出し、デスクワークに加え、現場でも日々忙しく活躍しておられます。

その彼が3月に本院へ入院し、ロボットスーツ医療用HALで1カ月治療を行いました。先日クリニックに来られたところ、まるで別人のような姿・歩き方に、患者さんも私もビックリ驚いてしまいました。

もともとは、脚から腰にかけての筋力が十分ではないため、歩いていると、身体が揺れるような姿になります。また、5分も歩くと筋肉の疲労がたまってしまうため、普段から歩いては休む、を繰り返しています。スッと一度に起き上がることも難しく、両腕を器用に使いながら立ち上がる日常です。

通常のリハビリテーションでも、ご自分の持っている筋力を最大限に引き出せるように訓練していきますが、どうしても長年かけて狭くなった関節の可動域や低下した筋力を、通常に近いところまで回復させるには、なかなか時間を要します。医療用HALは、患者さんが歩こうとする筋肉の電位を感知し、通常の歩行に必要な可動域まで力をサポートします。つまり、HALのサポートを借りて、正常に近い歩き方で訓練をすることができるようになります。

実際に1か月のHAL治療を終えた彼の歩きは、まったく別人のようでした。歩行時の身体の揺れがなくなり、前へ前へと強い推進力が感じられるようになりました。5分にととまらず、歩行時間がだいぶ伸び、起き上がりもだいぶスムーズになりました。

彼もHALへ期待を抱いていましたが、「こんなに良くなるとは思わなかった」と、驚きを隠せない様子でした。おおきな自信がついたようで、仕事をさらに前向きに頑張りたいという言葉が印象的でした。また、リハビリテーションのモチベーションもあがったようで、外来リハビリテーションの頻度も増やして、また次回のHALまで状態を維持したいと、とても前向きな表情に溢れていました。

HALは歩行が改善することに加え、自信がつき・モチベーションが上がるといった精神的な効用も大きいと改めて感じています。ながく症状が安定し、身体も気持ちも安定して過ごしていけるよう、引き続きサポートして参ります。

廣谷 真

廣谷 真Makoto Hirotani

札幌パーキンソンMS
神経内科クリニック 院長

【専門分野】神経内科全般とくに多発性硬化症などの免疫性神経疾患、末梢神経疾患
眼瞼けいれん・顔面けいれん・四肢の痙縮に対するボトックス注射も行います。

【趣味・特技】オーケストラ演奏、ジョギング、スポーツ観戦、犬の散歩