Dr Makoto’s BLOG

夏の北海道で感じたこと

神経内科2020.07.05

夏日でカラっと快晴の週末。
早起きして公園でノンビリ過ごしては、北海道の短い夏を満喫しています。
 
先日えりも町から初めていらしたパーキンソン病患者さん。早朝にえりも町の自宅を出発して、5時間かけてクリニックに来られました。
身体のだるさ・胸の不快感に困っているとしきりにお話しされます。近くにはパーキンソン病の治療をできる医療機関がないため、以前に3時間かけて移動して専門医のいる病院へ入院したときの薬剤を、現在地元の病院から処方を受けています。
 
北海道には神経内科をふくめ、専門的に治療を受けることができる医療機関が十分とは言えず、地域によって偏りがあるのが実情です。札幌・旭川・函館・帯広・釧路といった中核都市の専門医が実に広い医療圏をカバーするべく日々診療を行っていますが、それでもなかなか十分な診療を受けることができない方がたくさんおられます。
 
今回えりも町から来られた患者さんのように、ご自分で専門の医療機関を受診したいと思い、わざわざ来院される方には、遠方であってもなんとかその思いに応えたいと日々考えています。とくに、パーキンソン病の患者さんは、運動症状にとどまらず、だるさ・胸の不快感という、一見関連なさそうにもみえる「非運動症状」に悩んでいる方が多く、日常生活に不自由を強いられている姿も拝見します。
 
患者さんによっては入院のうえ治療を希望する方もいますが、一方で入院を希望しない方も多くおられます。今回の患者さんも入院の希望はなく、かといって札幌への通院も一人ではできないため難しい…どうしたものかと相談していたところ、オンライン診療でまずはやってみたいとの希望がありました。自宅にパソコンをお持ちではないようでしたが、知人から借りてどうにか用意します、と。その熱意に触れて、普段からどれだけ困っているかを痛感させられるのです。
 
神経内科の基本は対面診療で、実際に筋肉の硬さや身体の動きをみていくことが大切であることに変わりありませんが、北海道の医療事情などを考えると、そうばかりも言っていられない、非常に切羽詰まったものも感じています。患者さんが住み慣れた自宅で生活していくために、オンライン診療がひとつの有効なツールになることを願っています。
 

廣谷 真

廣谷 真Makoto Hirotani

札幌パーキンソンMS
神経内科クリニック 院長

【専門分野】神経内科全般とくに多発性硬化症などの免疫性神経疾患、末梢神経疾患
眼瞼けいれん・顔面けいれん・四肢の痙縮に対するボトックス注射も行います。

【趣味・特技】オーケストラ演奏、ジョギング、スポーツ観戦、犬の散歩