Dr Makoto’s BLOG

レボドパの効き目と食事の関係

パーキンソン病2023.05.14

「いつもと同じように薬を内服しているのに、なにかいつもと効き方が違う」。多くのパーキンソン病患者さんからいただく相談のひとつです。これまでのブログで触れてきましたように、便秘といった胃腸の動き具合や不眠といった睡眠の具合がレボドパ濃度に影響しますが、同じくらい食事も意識したいところです。
 
パーキンソン病の治療薬は、食後に内服することが基本です。はじめてレボドパ治療が開始されるとき、1日に3回、毎食後に内服することが多いと思います。これは、食後内服によってレボドパの立ち上がりが安定しやすく、長い時間にわたって効果が持続しやすくなるためです。
 
普段からレボドパを内服していくとき、レボドパの吸収を安定させるためには、食事内容も意識することが大切です。
牛乳や卵などのタンパク質を多く摂ったあとはレボドパの吸収がゆっくりとなり、一方で、空腹時にはレボドパの吸収が速くなると言われています。吸収が速くなるのは、効きがはやくなるという利点がありますが、そのぶん効果もはやく切れてしまうため、レボドパ血中濃度の変動が大きくなってしまい、長い目でみるとウェアリング・オフが出やすくなると考えられています。これが、レボドパの基本は食後内服という一番の理由です。それでも、レボドパをはやく効かせたいようなとき、例えばなかなかレボドパの立ち上がりに時間がかかるようなときには、あえてレボドパを食前に内服する方法をとることもあります。
 
ちなみに、胃内の酸性度が上がると、空腹時と同様にレボドパの吸収が速くなると言われています。レモン水やオレンジジュースと一緒にレボドパを内服すると、胃内の酸性度が上がるために立ち上がりがはやくなりますが、やはり効果もはやく切れるとされています。
 
「いつもと同じように内服しているのに、なにかいつもと効き方が違う」。このようなときには、ひとつ食事の内容を振り返ってみるのも良いかもしれませんね。
 

~塩谷丸山からみる積丹半島
 

廣谷 真

廣谷 真Makoto Hirotani

札幌パーキンソンMS
神経内科クリニック 院長

【専門分野】神経内科全般とくに多発性硬化症などの免疫性神経疾患、末梢神経疾患
眼瞼けいれん・顔面けいれん・四肢の痙縮に対するボトックス注射も行います。

【趣味・特技】オーケストラ演奏、ジョギング、スポーツ観戦、犬の散歩