Dr Makoto’s BLOG

重力を取り除いてあげよう

パーキンソン病2023.06.25

夏至を過ぎて、1年でいちばん日が長い時期を迎えています。
朝起きても明るい、1日の診療を終えても明るい…なんだか得したような気分にもなり、自然と気持ちが明るくなりますね。
1年ずっとこの時期が続けばいいのに、なんて思ってしまうのは、私だけではないのでしょうか?(笑)
 
パーキンソン病患者さんには姿勢が前かがみになりやすい方がおられます。肩が前に入ってしまい、背中が曲がった姿勢になってしまう。膝がまっすぐ伸びず、下を向くように首や腰が曲がってしまう。座っている状態でも前かがみになりやすく、立った状態になると前かがみがより目立つ方が多いようです。
 
さて、前かがみになりやすいパーキンソン病患者さんは、1日中前かがみの姿勢が続いているのでしょうか?実は、多くの患者さんが、寝ている最中には姿勢が真っすぐ伸びているようです。実際に診察台に仰向けになっていただくと、曲がっていた腰や首がすっと真っすぐ伸びるようになります。これは、座ったり立つ姿勢では、重力がかかることでどうしても姿勢を保つ筋肉に力が入りやすくなってしまうために起こると考えています。
 
そこで、前かがみになりやすい患者さんには、床に仰向けに寝っ転がっていただき、まずは重力がかからない状態でストレッチすることをすすめています。座ったり立った状態で背中や腰回りを伸ばすストレッチの方法もありますが、重力を取り除くという点では、床に仰向けに寝っ転がり、大の字になるのがもっとも確実な方法です。姿勢を保つために力が入りやすくなった腸腰筋などの筋肉が、重力を取り除くだけで自然に緩んでいきます。そして、大の字になって手足を伸ばし、床に沿わせながら両手で大きく円を描くように動かしていきます。背中の肩甲帯周囲の筋肉のこわばりを軽くすることができますし、前かがみ姿勢の改善・予防にも役立つエクササイズです。
 

~初夏の石狩岳とチングルマ
 

廣谷 真

廣谷 真Makoto Hirotani

札幌パーキンソンMS
神経内科クリニック 院長

【専門分野】神経内科全般とくに多発性硬化症などの免疫性神経疾患、末梢神経疾患
眼瞼けいれん・顔面けいれん・四肢の痙縮に対するボトックス注射も行います。

【趣味・特技】オーケストラ演奏、ジョギング、スポーツ観戦、犬の散歩