Dr Makoto’s BLOG

パーキンソン病と肩甲骨のカンケイ

パーキンソン病2018.03.31

この1週間でだいぶ気温が上がり、南・西・北側の全面窓ガラスのクリニックは陽射しが心地よくなってきました。
 
パーキンソン病の患者さんからお話しを伺いますと、かならずと言っていいほど姿勢の話を聞くことが出来ます。
なかでも、「首が前に出るようになった」「猫背のようになってきた」「肩が前に出るようになってきた」
という患者さんが多いように感じます。
 
パーキンソン病の症状は患者さんによってそれぞれ異なりますが、手のつかいにくさ・手のふるえがある患者さんは、
とくに肩甲骨周囲の筋肉が硬い方が多い印象を持っています。
肩甲骨周囲の筋肉というのは、手を真上にバンザイしたり、高いところのものを取り出すときくらいにしか使うことがなく、日常生活ではあまり使われていない筋肉です。
 
肩甲骨周囲の筋肉が硬くなることで、次第に脊柱周囲の筋肉・頚部の筋肉へ硬さが伝播していきます。
その結果、気づくとだんだん首が前にでるような姿勢、猫背のような姿勢、肩が前に出る姿勢へとなってしまいます。
 
ヒトの身体は、随所にある筋肉でバランスを維持して、真っすぐな姿勢を保っています。
ところが、とある筋が歪んでしまうと、バランスが崩れることによって、次第に他の筋肉へ影響を与えるようになってしまうのです。
 
姿勢の変化はその後だんだん下半身へと広がっていき、腰が曲がる・膝が曲がる・足指が曲がるようになる方もおられます。
 
パーキンソン病の治療薬はドーパミンを増やし、筋肉の硬さを軽くすることもできますが、
姿勢を保つためには、日ごろからのストレッチが大切です。
とくにパーキソン病と診断されて間もないような方へ、私はとくに肩甲骨周囲のストレッチをお勧めしています。
パーキンソン病の筋肉の硬さは、肩甲骨周囲に目立ち、次第に広がっていく方が多いと考えているからです。

① 片手を、肘をのばした状態で、できるだけ垂直真上方向へ、真っすぐに持ち上げる
② 5㎝天井を押すようなイメージで腕全体を上へ押し上げる(この状態で肩甲骨が浮いてきます)
③ 浮いた肩甲骨を沈ませないように意識しながら、腕全体をゆっくり真横へ降ろし、ふたたび真上へ戻す

これを1日10回繰り返すことで肩甲骨周囲筋の硬さが軽くなり、手のつかいやすさや姿勢改善につながってくると思いますよ。
 
姿勢というのはちょっとした意識があればよい状態を保ちやすくなります。
鏡を使うことも効果的で、毎朝自分の姿勢を鏡でチェックするようになれば、きっとよい変化を実感できるかもしれませんね。
 
 

廣谷 真

廣谷 真Makoto Hirotani

札幌パーキンソンMS
神経内科クリニック 院長

【専門分野】神経内科全般とくに多発性硬化症などの免疫性神経疾患、末梢神経疾患
眼瞼けいれん・顔面けいれん・四肢の痙縮に対するボトックス注射も行います。

【趣味・特技】オーケストラ演奏、ジョギング、スポーツ観戦、犬の散歩