Dr Makoto’s BLOG

冬こそストレッチ

クリニック2018.12.10

先日クリニックに来られた患者さんのお話しによると、北海道は雪が3回降るとだいたい根雪になるのだそうです。先週の雪が今シーズン3回目でしたので、いよいよ札幌も根雪になるのでしょうね。

「寒くなって身体の調子がいまいち」…12月に入り、患者さんから多く聞くようになってきています。パーキンソン病の患者さん、脊髄小脳変性症の患者さん、多発性硬化症の患者さん…病気に関わらず、多くの患者さんが感じておられるようです。また、健康な方も、冬道を歩くときは細心の注意を払う影響もあるのでしょうか、暖かい季節と比べて日常的に身体の硬さを感じやすくなるようです。

診察室で患者さんには実際に歩いてもらい、その様子を拝見することが多いのですが、冬になると多くの方に共通する変化があるように感じています。
それは、「無意識に上半身に力が入った状態となり、歩幅が狭くなってしまう」ことです。

歩くときは下半身に注意が向かいがちですが、実は無意識に上半身にグッと力を入れることで、転ばないようにバランスをとっていることが多いのではないでしょうか。私たちが調子よく歩けるとき、腕は前後にゆったりと振れ、骨盤は身体の軸を中心に孤を描くように前後に揺れているはずです。いわゆる「モデル歩き」のときに、脚がスッと出るようになり、歩幅は最も広くなります。

ところが、上半身に力が入ってしまうと、腕の振りが小さくなり、また骨盤が固定されやすくなることで、脚がスッと出にくい状態となってしまいます。歩幅が狭い状態・日々が続いていくと、次第に股関節の可動域も狭くなっていき、ますます脚が出にくくなってしまいます。

北海道に住んでいる以上、寒い気温や雪道を避けて通ることはできませんが、このような身体の変化を知ることは大切なことと感じています。肩甲骨から腰にかけて上半身の硬さをとるようなストレッチ、骨盤まわりを捩るようなストレッチ、股関節の可動域を再び広げるようなストレッチ。いずれも冬期間には念入りに行いたいストレッチですが、歩行への即効性という点では、股関節の可動域を再び広げるようなストレッチがとくに有効と、私は考えています。 

廣谷 真

廣谷 真Makoto Hirotani

札幌パーキンソンMS
神経内科クリニック 院長

【専門分野】神経内科全般とくに多発性硬化症などの免疫性神経疾患、末梢神経疾患
眼瞼けいれん・顔面けいれん・四肢の痙縮に対するボトックス注射も行います。

【趣味・特技】オーケストラ演奏、ジョギング、スポーツ観戦、犬の散歩