Dr Makoto’s BLOG

年の瀬と第九 ~子供から老人まで

音楽2020.12.21

つい先日までは雪が少ないですね、なんて患者さんと話をしていましたが、この1週間で一気に冬景色となりました。
いつもは年の瀬を感じて胸が高鳴るこの時期、今年のような年の瀬ははじめてという方が多いのではないでしょうか。
 
今年の12月はベートーヴェンの生誕250周年ということで、ラジオやテレビではベートーヴェンの特集が目立ちます。先日、ラジオでちょうど第九(交響曲第9番)にまつわるエピソードが流れていて、有名な第九・歓喜の歌は「音域がもっとも狭い歌」で、子供から老人まで誰でも歌えるメロディーになっているのだそうです。
 
第九の冒頭を聴いたことがある方はお分かりかと思いますが、ミ(E)とラ(A)の音だけで、不安定ながらだんだん迫ってくるような、神秘的なオープニングです。ミ(E)とラ(A)の音の幅は5度あるのですが、それまで禁句とされていた5度で始まるなんて、とても挑戦的な感じがします。この5度は「空虚5度」と呼ばれたりします。
 
そんな不安定・神秘的なオープニングで始まる第九が、最後は子供から老人まで誰でも歌えるようなメロディーでエンディングを迎える。なにかが解決するような、希望のようなものを感じさせてくれるようです。今年はだいぶ行く機会が減ってしまった演奏会ですが、今週末の札響の第九を聴いて、2020年の瀬と2021年へのささやかな希望を感じてきたいものです。
 
世界全体がガラッと変わってしまった2020年、来年への希望も持ちあわせながら、少しでも穏やかな年末となりますように。

 

廣谷 真

廣谷 真Makoto Hirotani

札幌パーキンソンMS
神経内科クリニック 院長

【専門分野】神経内科全般とくに多発性硬化症などの免疫性神経疾患、末梢神経疾患
眼瞼けいれん・顔面けいれん・四肢の痙縮に対するボトックス注射も行います。

【趣味・特技】オーケストラ演奏、ジョギング、スポーツ観戦、犬の散歩