Dr Makoto’s BLOG

夏のシベリウス ~ライブ感と思い出あれこれ

音楽2025.08.11

一時期のうだるような暑さを越えて、ここのところ北海道らしい夏になっています。日中の陽射しは強いですが、ちょっと風が吹くと涼しく感じることも増えてきました。
 
先日、クリニックの山田先生が出演するオーケストラの演奏会を聴きにいきました。山田先生は日々細やかに診療活動をしていますが、オーケストラやアンサンブル活動もながく続けていて、そのエネルギーにはいつも頭が下がる思いです。
 
演奏会でしか感じられないライブ感ってやはり良いものです。歳のせいでしょうか、最近は演奏を聴きながら、昔をあれこれ思い出すことが増えてきたような気がします。
 
演奏会の1曲目はドヴォルザークのチェロ協奏曲、略して「ドヴォコン」。札幌交響楽団・武田芽衣さんのチェロ独奏が圧巻で、ドヴォルザーク独特のノスタルジックなメロディーの歌いまわし、そして魂のこもった情熱的な演奏に感激しました。演奏が終わるや否や、隣に座っていた御方が、「北海道にもデュ・プレが現れましたね」と絶賛していていたほどです。
 
私が神経内科医を目指そうと思ったきっかけのひとつが、この「ドヴォコン」。ジャクリーヌ・デュ・プレという世界的な女性チェリストの半生を描いた映画が、私の学生時代に公開されました。映画ではこのドヴォコンも演奏され、デュ・プレの、女性とは思えない太くて厚いチェロの響きに驚いたものです。そして、世界中で演奏活動をしていた絶頂期に、彼女が多発性硬化症(MS)を患い、その後の生き様が当時の私には衝撃的だったのを覚えています。
 
2曲目はシベリウスの交響曲第1番、略して「シベ1」。学生時代、今はなき狸小路の音楽喫茶・ウィーンへ初めて行ったとき、とてつもなく大きなスピーカーから流れていた曲が、この「シベ1」でした。シベリウスはフィンランドの作曲家、フィンランドの厳しい歴史もさることながら、冬の厳しさや夏の爽やかさ、自然の雄大さは、北海道に近いものを感じてしまいます。この「シベ1」冒頭は、憂い気なクラリネットソロからはじまりますが、その後に一転、弦楽器のトレモロが響き始めると、北海道に待ち遠しい春が来たときの、あの感覚が甦ってきます。
 
いままでは冬から春にかけて聴くことが多かったシベリウス。夏のシベリウスは涼しさも感じることが出来て、演奏会の後は気持ちとカラダがスッと軽くなっていった気がします。
 

~北アルプス・笠ヶ岳と朝焼け

廣谷 真

廣谷 真Makoto Hirotani

札幌パーキンソンMS
神経内科クリニック 院長

【専門分野】神経内科全般とくに多発性硬化症などの免疫性神経疾患、末梢神経疾患
眼瞼けいれん・顔面けいれん・四肢の痙縮に対するボトックス注射も行います。

【趣味・特技】オーケストラ演奏、ジョギング、スポーツ観戦、犬の散歩