旅行2025.09.23
先日、百名山の北アルプス鹿島槍ヶ岳から五竜岳にかけて歩いてきました。ここは後立山連峰と呼ばれる山域で、黒部川を挟んだ向こうには立山連峰の剣岳などを綺麗に見渡すことができます。
仕事を終えて東京へ向かい、そのまま夜行バスに乗り込みます。夜行バスでぐっすり眠り、目覚めるとまだ薄暗い長野県の扇沢登山口に到着しました。天気は晴れの予報、最初はヘッドライドを着けてのスタート、1時間も歩くとだんだん陽が明けていきます。静かなこの時間帯の山歩きが、何ともいえなく満たされた気がする、実に心地よい時間です。そして三百名山の爺ヶ岳を超えると、目の前に現れた鹿島槍ヶ岳の圧倒的な存在感に、自然と気分が揚がっていきます。
鹿島槍ヶ岳があんなに近くに見えるのに、それでも2.5時間もかかる予定です。真っすぐな登り道だと有りがたいのですが、山々を超えていく縦走登山では、決まって「200m下っては200m登る」という登り返しがつきものです。
晴れてこの登り返しを終え、冷池山荘を超えたところです。思いがけず自然界の動物と遭遇しました。前日にも出没があったと山荘の方より聞いていたところ、とても人慣れした動物の親子が、わざわざ登山道に沿ってゆっくりと降りてきます。他の登山者の方と様子を見ながら、脇道にそれていくのを待つこと1.5時間。北海道の山歩きをしている以上、普段から動物対策はしていましたが、まさか北アルプスに来てまでとは、少々驚きでした。1.5時間の待機があった影響かわかりませんが、鹿島槍ヶ岳に着いたときにはあいにくの雲がかかっていました。
本日の宿泊地は鹿島槍ヶ岳を超えていき、八峰キレットにあるキレット小屋です。岩場の道を丁寧に・丁寧に歩いていきます。「キレット」とは、山の稜線が深く切り落ちた場所、特にV字状に深く切れ込んだ鞍部を呼びます。キレット小屋は、まさに稜線の切り落ちた場所にある小屋で、どうやって建設したのか不思議に感じてしまうような場所にあり、まさに秘境です。
キレット小屋のご主人は、宿泊者のルールにはっきりと苦言も言うような、一見厳しいけれども、とても愛情のある対応をして下さいます。夕食には名物の大きなハンバーグと、山で生野菜を食べることができる幸せです。厳しい道を歩いてきた宿泊者は、みなさん休息と翌日の準備を念入りにして、19時にはほとんどの方が眠りについていました。
翌朝は4時半にキレット小屋を出発し、岩稜帯を一歩一歩しっかりと登っていきます。振り返ると、下ってきた鹿島槍ヶ岳からの稜線、これから登る五竜岳への稜線が見事に美しく、ちょうど朝陽に照らされる至福の時を迎えます。口の沢のコルでは、小屋で用意してもらった美味しい弁当を食べ、これからの険しい岩歩きのエネルギーをチャージし、気持ちも十分です。五竜岳は岩稜帯の険しさと木々の緑が混ざったコントラストが美しく、北海道では見かけないような山容に、終始テンションも高いままでした。
下山した白馬五竜のベースセンターでは、八峰キレットで顔なじみになった登山者と、お互い無事に下山できたことを分かち合いました。いつも山歩きの帰りは高揚感のせいか、頭がボーッとしているのは、ここだけの話にしておきます。
~鹿島槍ヶ岳と八峰キレット
廣谷 真Makoto Hirotani
札幌パーキンソンMS
神経内科クリニック 院長
【専門分野】神経内科全般とくに多発性硬化症などの免疫性神経疾患、末梢神経疾患
眼瞼けいれん・顔面けいれん・四肢の痙縮に対するボトックス注射も行います。
【趣味・特技】オーケストラ演奏、ジョギング、スポーツ観戦、犬の散歩
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