クリニック2025.09.08
先日、地域の医療・福祉関係者の方々を対象に、「パーキンソン病地域医療連携セミナー2025」をクリニックで企画し、たくさんの方にご参加いただきました。当院の外来リハビリテーション(理学療法士)、訪問リハビリテーション(作業療法士)とともに情報をアップデートしながら、パーキンソン病患者さんへの治療やケアについて、参加者全体で共有する貴重な機会になりました。
パーキンソン病患者さんの治療やケアをすすめるとき、「このような症状にはこのように診療をすすめていくと良いですよ」という、ひとつの大きな指針が、「診療ガイドライン」として学会から提示されています。私も、ガイドラインを頭に入れながら日々診療をしていますが、パーキンソン病患者さんの治療やケアに携わっておりますと、「これが正解」という方法はないと、つくづく感じている毎日です。
患者さんやご家族が、日常生活のどういったところに不具合を感じているのか、日内変動や不随意運動といった運動合併症が日常生活にどの程度影響しているのか、頻尿や体重減少といったパーキンソン病の周辺症状が身体や精神面に与える影響、仕事や家庭生活で刻々と変化していく立ち位置、経済的な問題…などなど。実際は、「患者さんに起こっている症状や困りごとを、どこまで把握できているか」というのがいちばん難しいところだと感じています。ここを適切に把握できないことには、十分な治療やケアに結びつかないからです。
患者さんに起こっている症状や困りごとを把握するために、患者さんやご家族からの訴えはもちろんのこと、当院・他医療機関のスタッフ、そして地域の医療・福祉関係スタッフの情報が欠かせない情報です。ひとりの患者さんを、多職種・多方面の視点から関わっていくことの大切さです。とくにケアマネジャーや訪問看護ステーションスタッフからは、文書や電話で患者さんの様子や困りごとの細かな情報を日々いただいています。クリニックだけでは把握しきれない貴重な情報が多々あり、毎月の報告書をクリニックスタッフでしっかり共有させていただいています。
これからも地域スタッフのみなさまとは、双方向で患者さんの情報や意見交換をすすめ、お互いに、さらに自信をもって患者さんの治療やケアにあたっていけたらと感じています。引き続きのご指導をよろしくお願いいたします。
~五竜岳からみる唐松岳・白馬連峰
廣谷 真Makoto Hirotani
札幌パーキンソンMS
神経内科クリニック 院長
【専門分野】神経内科全般とくに多発性硬化症などの免疫性神経疾患、末梢神経疾患
眼瞼けいれん・顔面けいれん・四肢の痙縮に対するボトックス注射も行います。
【趣味・特技】オーケストラ演奏、ジョギング、スポーツ観戦、犬の散歩
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