Dr Makoto’s BLOG

パーキンソン病と自転車

パーキンソン病2017.09.08

9月に入り、日中は日差しが強い日もありますが、朝夕はだいぶ涼しくなりました。
ここだけの話ですが、夏は暑くてサボっていた自転車通勤を再開しました(笑)。
今の時期に自転車を漕ぐのはやはり気持ちよいですね。

自転車といえば、私が強烈に印象に残った論文・動画があります。
すくみ足が強くて歩くのにとても苦労していたパーキンソン病患者さんが
自転車に乗ると別人のようにスイスイ自転車を漕いでいる!という報告です。

2010年にNew England Journal of Medicineという有名な医学雑誌に掲載され、
患者さんの動画を見たときは衝撃的でした。全米のニュースでも流れたようです。

すくみ足は「freezing of gait(凍ったような歩き)」とも呼ばれ、
無意識に必要以上にブレーキをかけて足が出るのをストップさせてしまうパーキンソン病症状のひとつです。

動画のようにすくみ足が目立つ患者さんがおられる一方で、
すくみ足がまったくないパーキソン病の方もおられますので、
すべてのパーキンソン病患者さんに自転車が有効という訳ではありません。
「ペダルを漕ぐ」という動作が足の漕ぎだしにゴーサインを出し(私たちはキューcueと読んでいます)、
その結果すくみ足が良くなると考えられているようです。

すくみ足のキューには、「いちに・いちに」の声かけのほか、
他人の足をまたいで歩き出す、
テープなどの目印を床にはって跨ぐ、
歩きだしの前に足を一歩後ろに引いてから歩き出す、などが有名ですが、
日常生活のなかで色んなキューを探っていくことの大切さを改めて感じました。

https://www.youtube.com/watch?v=aaY3gz5tJSk
Youtubeに公開されている、New England Journal of Medicineの公式動画です
Video1とVideo2は同じ患者さんですが、別人のようです

廣谷 真

廣谷 真Makoto Hirotani

札幌パーキンソンMS
神経内科クリニック 院長

【専門分野】神経内科全般とくに多発性硬化症などの免疫性神経疾患、末梢神経疾患
眼瞼けいれん・顔面けいれん・四肢の痙縮に対するボトックス注射も行います。

【趣味・特技】オーケストラ演奏、ジョギング、スポーツ観戦、犬の散歩