Dr Makoto’s BLOG

ほそく・ながく続ける ~柔軟さとご褒美 

パーキンソン病2022.01.24

札幌市の除排雪に携わっている患者さんが、先日クリニックに来院されました。
お話を聞くと、最近は昼夜問わずに除排雪をして下さっているそうで、大変ありがたいことです。大きな道から一本なかにはいると、あちこちにデコボコの道がありますが、今の時期は時間と気持ちに余裕をもっていきたいものです。
 
パーキンソン病患者さんをはじめ、多くの患者さんが健康を保つ秘訣に「習慣化」があります。
診察室でも折に触れて習慣化のお話しをしています。朝起きて、朝食をとって薬を内服する、昼食をとって内服をする、夕食をとって内服をする、入浴して床につく。基本は起床・就寝時間と食事時間の習慣化ですが、これに散歩や買い物、趣味の運動やサークル、リハビリなどを加える方もおられるのではないでしょうか。
 
だいたい決まった時間・曜日に行うことを習慣化と呼び、習慣化は体調を安定させるひとつの方法と考えています。食事や睡眠は生きていくために必ずとるものですので、ある程度習慣化しやすいのですが、散歩や買い物、趣味の運動やサークル、リハビリなどはなかなか続けにくく、習慣化しにくいこともあるのではないでしょうか。
 
物事の最初から習慣とはならず、続けていってはじめて習慣となっていきますので、最初のうちはあまりがんじがらめにすると習慣が身につかないかもしれません。
たとえば、「月曜日の10時に散歩をする」といった習慣の場合、その日に天気が悪くて散歩に行けなかったとしますと、散歩をそのまま1週間中止にしてしまうか、あるいは他の曜日にずらして行うかによっても習慣の身に付き具合が変わってくることでしょう。言うまでもなく、スケジュールに柔軟さをもって、他の曜日にずらして散歩にいくほうが習慣化しやすく、習慣づけに柔軟さがポイントになることは、行動学的にも示されているようです。
 
ところで、よく患者さんから「お酒を飲んでもよいのでしょうか?」と質問をいただきます。もちろん適量のお酒であれば大丈夫ですよ、とくにパーキンソン病患者さんには気分がリラックスしてドーパミンを出しやすくする効果もありますよ、と伝えています。
 
先ほどの習慣化の話に戻りますが、なかなか気分が乗らないときには、ご褒美を与えることでやる気が出てきます。脳の報酬系・ドーパミン分泌も、ご褒美によって活発に活動するようになる仕組みです。散歩や運動といった習慣づけに頑張ったご褒美にのむお酒は、格別のものになりますね。ほそくながく続けて、元気に過ごせますように。
 
 

廣谷 真

廣谷 真Makoto Hirotani

札幌パーキンソンMS
神経内科クリニック 院長

【専門分野】神経内科全般とくに多発性硬化症などの免疫性神経疾患、末梢神経疾患
眼瞼けいれん・顔面けいれん・四肢の痙縮に対するボトックス注射も行います。

【趣味・特技】オーケストラ演奏、ジョギング、スポーツ観戦、犬の散歩