Dr Makoto’s BLOG

ペロっと塩を舐める

パーキンソン病2022.05.29

はやいもので5月も終盤に差し掛かり、今年は久しぶりにYOSAKOIソーランの話を聞くようになりました。少しずつではありますが、もとの生活に近づいているところもあるようです。
 
さて、この5月から新たにクリニック・リハビリテーションに2名の女性陣が加わりました。笑顔の似合う頼もしい理学療法士の女性と、穏やかで思慮深い作業療法士の女性です。おふたりとも神経内科・脳神経外科での経験を積んできて、たくさんの引き出しを持っています。どうかお気軽にお声かけくださるとありがたいです。
 
クリニックでリハビリテーションを受けられる患者さんには、クリニックに到着後、受付奥にある自動血圧計の測定をお願いしています。体調のひとつのバロメーターとして、毎日自宅でも血圧を測っている方も多いのではないでしょうか。
 
血圧は高すぎても、低すぎても困りものです。世間では高血圧のため、降圧剤を内服している方がたくさんおられます。
ところが、パーキンソン病患者さんなど、クリニックに通院される患者さんは、どちらかというと低血圧になる方が多いようです。
 
診察室ではベッドに仰向けになった状態と、立った状態と2回血圧を測定することがあり、これは立ち上がった時に血圧が下がってしまう「起立性低血圧」を診ています。「たちくらみ」と言われるもののひとつに、この起立性低血圧があり、とくにパーキンソン病の患者さんでは自律神経の調整が上手く働かないために生じやすいと言われています。なかには立位の収縮期血圧が70mmHg台という患者さんもおられますが、起立性低血圧が何年も続いてきた方ですと、意外にもケロッとしているので不思議です。ただ、やはり低血圧が続いてしまうと、立ちくらみのために転びやすくなったり、疲労やだるさも感じやすくなってしまいますので、好ましいことではありません。
 
みなさんご存知のように、血圧を高くしないためには、適度に塩分を控えることが大切です。逆に、低血圧の患者さんは、血圧を下がりにくくするために、「塩をなめる」ことも大事な方法です。これから暑くなる季節、熱中症予防でも塩分摂取がアナウンスされますが、収縮期血圧が90mmHg以下でだるさを感じるようなときは、指先に塩をつけてペロっと舐めてみることも役立つかと思います(心臓の機能がしっかり保たれていることが前提になりますので、ご承知おきください)。
 

廣谷 真

廣谷 真Makoto Hirotani

札幌パーキンソンMS
神経内科クリニック 院長

【専門分野】神経内科全般とくに多発性硬化症などの免疫性神経疾患、末梢神経疾患
眼瞼けいれん・顔面けいれん・四肢の痙縮に対するボトックス注射も行います。

【趣味・特技】オーケストラ演奏、ジョギング、スポーツ観戦、犬の散歩