Dr Makoto’s BLOG

心地よい夜風 HALのこと

神経内科2017.08.19

「機能回復神経サマーセミナー札幌」という講演会に参加してきました。

クリニックでも導入しているロボットスーツHALの講演がメインで、
HAL治療の第一人者である新潟病院の中島孝先生の話を、実にたくさん聞くことができました。
中島先生は日本でHALが保険適応を受けるために治験を進めた中心の方で、HALの幅広いノウハウをお持ちです。

クリニックでもHAL治療を受けた患者さんが着実に増えてきています。
概ね患者のみなさんが「歩きやすくなった」「姿勢が良くなった」などと、その効果を実感され、
我々スタッフからみても効果があると感じています。
HALを受けてから4か月ほど経過した患者さんが、今現在もなお効果が持続し、歩きやすさを維持しておられます。

これは、HALが単なる歩行リハビリマシンではなく、「機能再生治療の効果」、
つまり「病気自体の転機(簡単に言うなら進み方)を変える効果」があるという画期的な治療法であるということで、
中島先生もその点を強調しておられました。

「神経は一度ダメージを受けるとなかなか回復しない」というのが今までの常識でしたが、
HALはそれを根底から変える可能性をもっているのです。

HALの適応疾患はまだ限られていますが、病気が進行してからではなく、
病気の早期にHAL治療を導入し、神経回復を早期から促すことで、従来考えられていた病気の進み方とは異なり、
病気を軽い状態に抑えることもできるのではないかと思っています。

HALの登場で、神経難病の治療が大きく変わりつつあります。
改めて、HALが使えるようになった今の時代に、
一人の医療スタッフとしてHAL治療に関わることができる幸せを感じています。

この夢のある治療を、北海道にお住まいの多くの患者さんへ提供することが、クリニックのひとつの使命と感じています。
また、今後多くの病気に適応が拡大されるよう、クリニックもお手伝いできればと思っています。

講演会の帰り道は、夜風がいつもにも増して心地よく感じました。

 *HALの適応疾患
脊髄性筋萎縮症 球脊髄性筋萎縮症 筋萎縮性側索硬化症 筋ジストロフィー 封入体筋炎
先天性ミオパチー 遠位型ミオパチー シャルコーマリートゥース病
 

廣谷 真

廣谷 真Makoto Hirotani

札幌パーキンソンMS
神経内科クリニック 院長

【専門分野】神経内科全般とくに多発性硬化症などの免疫性神経疾患、末梢神経疾患
眼瞼けいれん・顔面けいれん・四肢の痙縮に対するボトックス注射も行います。

【趣味・特技】オーケストラ演奏、ジョギング、スポーツ観戦、犬の散歩